そろそろ全校登校日ではないでしょうか。いまでも八月二十一日でしょうかね。長く休んでしまうと行くのが嫌になる子もいたり、みんなどうなっているかと久しぶりに会いたい子もいるでしょうね。はまじの小学三年時代はどうだったのかな。

全校登校日
八月二十一日は決まって登校日がある。なぜこの日に登校するのかわからないけど、いま考えると銀行振り込みのない時代だし、先生の給料日だったのではないか。
ぼくは近所の下級生のニシと登校せず『ヤングランド』へ行った。そこは清水に二つあるうち一つの遊園地だ。流れるプール、ジャンボ滑り台、ジェットコースター、メリーゴーランド、ゲームコーナーなどがある。給食費の五千円持っていて、それを使おうと思った。
ニシを誘った理由は、単純にサボりたいというからだ。
そして子供七百円を二人分払った。プールは無料だが、水着を持っていないので入らなかった。流れるプールなら入ることが出来た。なんといっても先生もいないからだ。ただきょうは子供たちがいない。ゲームコーナーの女性たちがぼくらを見てひそひそと話している。なにかしたわけではないのに。
「全校登校日に入ると休んだのがばれるのかな」
二年生のニシに向ける。
「そうかも。でも夏休みだしいいじゃんね」
ぼくもそう思った。そしてジェットコースターは低学年では乗れないことがわかった。メリーゴーランドは乗った。でもたいして面白くなかった。
売店でホットドックを買って食べていたら、
「ぼくたち、きょうは登校日だよね」
ぼくとニシは学校指定の横断バックを持っている。そんなバックを持ち遊園地にはだれも来ない。それでばれている。というか、ワタと西友に行ったときもそうだが、子供は監視されているのだ。
「……」
ぼくはお金を払ったのに捕まるのか。
「ちょっとこっちに来てね」
二人のおばさんにぼくらは捕まった。
事務所のようなところへ連れて行かれ質問をしてきた。どこの学校、何年生、家の住所など。ぼくは黙っていたがニシが全部話してしまった。
名前と何年何組は横断バックに書いてありばれていた。そこから学校へ電話したのか、住所と電話番号もばれてしまった。するとぼくは涙を流していた。黙っていたかったのに、全部ばれたことがくやしくなっていた。
売店の裏にある店員の休憩所にいてといわれた。そこにいると従業員がジュースを飲みに来たり、たばこを吸ったりしている。
「なんだ、ぼうずっち学校行かなかったからここにいるのか」
ラーメンのようなパーマの男がそういった。ぼくはうなずく。
「学校の日に遊園地に来ちゃダメだぞ、補導されるから」
そういうことだったのか。日曜や休みならいいが、遊び場には必ず補導員が巡回に来ることも教えてくれた。それを考えると西友はよく補導されなかったと思う。たまたまだったのかもしれない。その男性からサボった場合に行ってはいけない場所を教えてもらい、ぼくはためになった。
そしてニシの母と妹を抱いたぼくの母がそろって迎えに来た。
唯一戸川先生ではないのが救いだった。
ただ給食費のお金を使ったことで、夜には義父の長い説教が待っていた。
つづく
まったくしょうがないはまじです。
では次回に…
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